一桥教员の本
近代中国の郷土意識 : 清末民初江南の在地指導層と地域社会
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佐藤仁史着 |
着者コメント
本书は、中国の江南地方という一地域社会に即して、清末民初期(20世纪初头)に生成した郷土意识を切り口に中国の近代化について検讨したものです。郷土意识に着目したのは、近代中国における郷土や地方という概念の登场が、清末に现れた文明や国家といった郷土と対立したり郷土を包摂したりする概念?制度の诞生と不可分の関係にあったからです。
分析に际しては、郷土意识が表现された媒体である郷土志、地方新闻や新たなスタイルの地方志などの出版物の存在に注目しました。そこには地域社会独特の文脉において受容された「新観念」が反映されていたからです。
このような出版物を江南地方において出版したのが市镇在住の生员?商人层を核とする指导层であり、出版量の多さからは市镇が高い密度で存在した江南社会の地域性を见出すことができます。本书はこれらの史料をもとに、在地指导层が自らの居住する地域社会をどのような尺度を用いて、どのように位置づけるようになったのかを分析しています。